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No.16 地名の八王子も王子信仰もウソっぱち!牛頭天王も縄文語の地名に空想物語が便乗しただけ!
全国に設置された国衙、中央に報告される各国風土記、そして中央で編纂された記紀。これらはヤマト勢力の扶植と同時に、自らに都合のよい歴史の流布、先住民文化の抹殺の役割を担っていたように見えます。
言うまでもなく、八百万の神の多くも、それに加担する存在です。神様にふさわしい態度にはとても見えませんが、この国はそんなことを千年以上続けています。
今回は、王子信仰と牛頭天王を取り上げます。これらも他の神様同様、ウソ物語で上書きされています。
筆者が王子信仰を調べるきっかけとなったのは、皇子塚古墳、王子塚古墳、皇子山古墳の縄文語解釈です。筆者が調べた古墳には以下があります。
・皇子塚古墳(群馬県藤岡/6世紀後半/円墳)
・皇子塚古墳(長野県上田市/古墳時代後期/円墳)
・王子塚古墳(長野県上田市/5世紀中頃から6世紀前半/帆立貝形古墳)
・皇子山古墳群(滋賀県大津市/3世紀末~4世紀後半/前方後円墳、円墳)
これらを縄文語解釈すると、以下のようになります。
◎縄文語:「皇子塚/王子塚」
=「オ・ウシ・テュク」=「川尻(or山裾)・のところの・小山」
=山裾、あるいは、川の合流地点(川口)に立地する塚
それぞれの地勢を見てみます。
■皇子塚古墳(群馬県藤岡/6世紀後半/円墳)※川の合流点に立地。 ■皇子塚古墳(長野県上田市/古墳時代後期/円墳)※山裾に立地。 ■王子塚古墳(長野県上田市/5世紀中頃から6世紀前半/帆立貝形古墳)※川の合流点に立地。 ■皇子山古墳群(滋賀県大津市/3世紀末~4世紀後半/前方後円墳、円墳)
※皇子山に築かれた古墳群。皇子山は山裾の山。
いずれにしても、「川の合流点」あるいは「山裾」に築かれていますが、これだけではさすがに例証が少なすぎるので、解釈確度を上げるために、全国の「王子」「八王子」の地名も調べてみます。
これらの地名は「王子信仰」と関わりがあると考えられています。
【通説】王子信仰とは
(※百科事典マイペディア引用) 「神が高貴な幼児の姿で現れるという信仰。王子,八王子の地名はかつて王子権現をまつった所である場合が多い。熊野信仰では多数の御子神(みこがみ)を熊野詣(もうで)の道にまつり,九十九王子と称した。その第一位は若一(にゃくいち)王子で,天照大神を祭神にするという。日吉(ひえ)信仰,祇園(ぎおん)信仰の八王子権現も有名で,天照大神が素戔嗚(すさのお)尊と誓約した際に生まれた5男3女の神とする。 」
(※wikipedelia引用) 「王子信仰の隆盛とともに、王子信仰の社がある場所が王子の地名で呼ばれることが増え、王子の地名が全国に広がった。」
何が正しいかは、人々が残した恣意的な文書や伝承よりも地勢が雄弁に証明します。
まずは「王子」。
◎縄文語:「王子」=「オ・ウシ」=「川尻(or山裾)・のところ」
下に挙げる参考例を見ていただければ、一目瞭然です。ほぼすべてが「川尻(or山裾)」の地勢です。
次に八王子。
八王子の父親である牛頭天皇は薬師如来の垂迹であり、スサノオの本地で、祇園信仰の神です。京都の八坂神社(祇園社)から全国に祇園社、天王社が勧請されました。
【八坂神社由緒】
「もともと感神院または祇園社と称し、斉明天皇2年(656年)に高麗からの使節である伊利之(いりし)が新羅国の牛頭山に座した素戔嗚尊を山城国愛宕郡八坂郷の地に奉斎したことに始まる。」※参考:八坂神社HP
まず、この「スサノオが新羅から来た」という日本書紀の記述を鵜呑みにして書かれたであろう内容が疑わしすぎます。スサノオの時代に、まだ新羅は存在していません。そして、新羅の日本読みの「しらき」は縄文語解釈で、
◎縄文語:「新羅」=「シロケシ」=「山裾」
の意の一般名詞で、同じ地勢のどこの地名にも当てはまります。筆者は、スサノオの出身は大分県の国東半島のふもととしています(※「日本書紀のエラーコラム」第二十四回コラム参照)。
牛頭天王がいたとされる須彌山中腹の「豊饒国」とは、実は大分の「豊国」のことではないでしょうか。また、平安末期の伊呂波字類抄では、牛頭天王をインドの北にある「九相国」の王としていますが、この「九相国」を縄文語で「クーソル(対岸)国」とすれば、筆者が考える「九州」の語源と完全に一致します。
つまり、この八坂神社の由緒に記される「新羅の牛頭山云々」の内容は、656年の創建が信用できるのであれば、「牛頭」の漢字表記と日本書紀の内容にこじつけた物語が後から付け加えられたものではないかと疑えるということです。
牛頭天王を縄文語解釈します。
◎縄文語:「牛頭」=「コッチャル」=「谷の入口」=白川と鴨川の合流点(八坂神社本殿下の池の入口)
つまり、
●縄文語で「コッチャル」 と呼んでいた場所に「牛頭」という漢字が充てられ、物語が創作された
ということが想定できるということです。
■八坂神社 ※白川と鴨川の合流地点。八坂神社本殿下には大きな池があります。
この「コッチャル=谷の入口」は、各地の地名に頻繁に登場します。前述の金刀比羅宮、事代主神、一言主神の名にも含まれていて、それぞれ、金刀比羅宮のある象頭山、事代主神の代名詞である三輪山、一言主神が祀られる葛城の地勢と一致しています。
ちなみに、偶然かもしれませんが、新羅の牛頭山も谷の入口の山です。もし、共通語として縄文語が使われていたのであれば、同じ発音から物語がこじつけられたとも考えられます。
それは同時に、当時の倭人の文化圏が想像以上に広範囲だったことを示すことにもなります。朝鮮半島も南部から北に向けて縄文語解釈した方がいいかもしれません。
■朝鮮半島牛頭山 ※地図のポイントの北西方向約1kmが頂。谷の入口の山。
そして、この牛頭天王の八人の子が八王子の出所です。
【八王子神社由緒】牛頭天王の子の八人を八王子権現として祀る
この由緒は全国の「八王子」の地名由来となっています。 この八王子権現の大元は、京都の牛尾山(八王子山)の山岳信仰と天台宗、山王神道の神仏習合です。この八王子山を縄文語解釈します。
◎縄文語:「八王子」=ハッタル・オ・ウシ」=「淵・尻・のところ」
=淵の出口(入口)=琵琶湖の出口(入口)の山
と解釈できます。もしかすると「ハッタル」ではなく、「淵」を意味する「フチ」のような発音の言葉がすでにあったのかもしれません。尻を意味する「オ」は、日本語の「尾」が相応しい。とすれば、
◎縄文語:「八王子」=「フチ・オ・ウシ(淵・尾・主)」=「淵・尻・のところ」=淵の出口(入口)
となり、さらに理解しやすくなります。
■牛尾山(八王子山)(京都府京都市)※琵琶湖の尻の山。
以下、王子とともに、全国の八王子山、八王子の地形図をご紹介します。これらを見ると、ほとんどが「湖や湾の出口」、あるいは「山間からの川の出口」となっています。
つまり、「王子」と同様に、
●「ハッタル・オ・ウシ」or「フチ・オ・ウシ」という地名に、「八王子」という漢字が充てられて「八王子権現」が出現した
ということが考えられるということです。
八王子の縄文語解釈は牛頭天王の解釈とも、八坂神社、日吉大社、牛尾山のすべての地勢とも一致しますが、ただの暗合でしょうか。
「コッチャル=谷の入り口」と「ハッタル・オ・ウシ=淵・尻・のところ」が、ワンセットで同一地域を表していたとすれば、それを元に「牛頭天皇と八王子の親子物語」が創作されたということも考えられます。
いずれにせよ、これらの場所で何かが祀られていたのだとすれば、それは決してどこぞの王子様ではなく、「水辺の自然崇拝」だったということになります。
【統計】「王子」を冠する古墳、地名が「片川尻(川の合流点)・のところ」
or「山裾(山尻)・のところ」
の地勢と一致する確率。(※地名は郵便番号一覧からサンプル抽出)
1)「王子」「皇子」を冠する古墳が縄文語解釈の地勢と一致するの確率=4/4=100%
2)「王子」を冠する地名が縄文語解釈の地勢と一致するの確率=34/33=97.1%
1)+2)=132/134=97.4%
【統計】「八王子」を冠する地名が「淵・尻・のところ(湖や湾の出口or山間からの川の出口)」
の地勢と一致する確率。 (※地名は郵便番号一覧からサンプル抽出)
・18/20=90%
【参考】王子のつく地名
■福島県石川郡石川町王子平 ※山裾。 ■千葉県佐倉市王子台 ※丘陵裾。 ■東京都北区王子 ※石神井川と隅田川(旧入間川)の合流地点。 ■神奈川県厚木市王子 ※峰裾。川の合流地点とも言える。 ■福井県三方上中郡若狭町若王子 ※山裾。「若王子=ワ・ケ/オ・ウシ=(川)岸の・ところ/山尻の・ところ」 ■静岡県藤枝市若王子 ※山裾。「若王子=ワ・ケ/オ・ウシ=(池)岸の・ところ/山尻の・ところ」 ■愛知県瀬戸市王子沢町 ※峰裾。 ■愛知県春日井市王子町 ※王子製紙由来。統計に入れない。 ■京都府京都市左京区若王子町 ※山裾。「若王子=ワ・ケ/オ・ウシ=(川)岸の・ところ/山尻の・ところ」 ■京都府京都市下京区悪王子町 ※「悪王子=アルケ・オ・ウシ=片割れの・尻の・ところ」ではないか。スサノオの荒魂を祀る悪王子社があった。悪王子社はもともと悪王子町の東北東の元悪王子町にあった。丘陵裾に見えるが、後世の開発で詳細不明なので、統計に入れない。 ■京都府京都市右京区宇多野福王子町 ※山裾。 ■京都府亀岡市篠町王子 ※山裾。 ■大阪府大阪市阿倍野区王子町 ※「阿倍王子(神社)=アゥ・ペ・オ・ウシ=枝分かれた・水の・尻・のところ=河内湖の外れ」。川尻、山尻とは別の解釈。 ◎縄文語:「阿倍野」=「アゥ・ペ・ウン・ノッ」=「枝分かれた・水・にある・岬=上町台地」 ■大阪府貝塚市王子 ※峰裾。川尻とも言える。海水面が高い頃はもっと海沿い。 ■大阪府和泉市王子町 ※山裾。 ■兵庫県神戸市灘区王子町 ※山裾。 ■兵庫県明石市王子 ※川の合流地点。 ■兵庫県西脇市上王子町 ※山尻 ■兵庫県小野市王子町 ※川の合流点。「小野=オ・ウン・ノッ=川尻・にある・岬」 ■兵庫県加西市王子町 ※山裾。 ■兵庫県淡路市王子 ※山裾。 ■兵庫県揖保郡太子町王子 ※山裾。 ■和歌山県新宮市王子町 ※川の合流点。 ■和歌山県新宮市谷王子町 ※山裾。 ■和歌山県紀の川市王子 ※山裾。 ■岡山県久米郡美咲町王子 ※山裾、川の合流地点。
■広島県福山市王子町 ※山裾。王子山の麓。 ■徳島県阿波市阿波町王子川 ※山裾。 ■愛媛県新居浜市王子町 ※山裾。 ■高知県香南市香我美町徳王子 ※山裾。 ■福岡県北九州市八幡西区東王子町/西王子町/南王子町 ※峰裾。 ■福岡県糟屋郡志免町王子 ※山裾。 ■大分県大分市王子 ※山裾。周辺一帯が「王子」を冠する地名。 ■大分県佐伯市王子丸 ※山裾。「王子丸=オ・ウシ・マ・オロ=山尻・のところの・川の・ところ」 ■大分県臼杵市野津町王子 ※山裾。 ■ 鹿児島県鹿屋市王子町 ※丘陵の麓。
【参考】八王子を冠する古墳
■八王子古墳(香川県高松市/古墳時代後期以降)※浅野小学校の体育館建設で消滅。市宮池池畔の古墳。
【参考】八王子のつく山
■八王子山 (群馬県桐生市/太田市) ※渡良瀬渓谷の出口の山。
■八王子山 (山梨県甲府市) ※昇仙峡のある荒川の出口の山。
■八王子山 (岐阜県) ※木曾川、可児川の出口の山。
【参考】八王子のつく地名 ※後世の開発で不明となっている場所は除く。
■埼玉県さいたま市中央区八王子 ※大宮大地の旧河川の川口。 ■東京都八王子市 ※西の山間から東流する河川多数。その出口。 ■ 新潟県長岡市小国町八王子 ※淵尻ではない。八王子神社があるので神社由来か。 ■ 新潟県燕市八王寺 ※信濃川と中ノ口川がつくる湿地の淵。 ■愛知県瀬戸市八王子町 ※赤津川の山間からの出口。 ■愛知県江南市安良町八王子 ※淵尻ではない。 ■愛知県田原市八王子町
※通説は文徳天皇の皇子八条院が当地西方の台地に居を構えたことに由来だが、かなり怪しい。三河湾の出口。 ■三重県四日市市八王子町 ※淵の出口。 ■京都府京都市下京区八王子町 ※大きな池のある渉成園のそばだが、後世の開発でもとの地勢は不明。統計に入れない。 ■京都府八幡市上津屋八王子 ※川の出口。虚空蔵谷の出口の意か。 ■大阪府池田市八王寺 ※淵尻。 ■岡山県倉敷市八王寺町 ※高梁川の出口。 ■山口県宇部市八王子 ※宇部岬の突端。 慶長国絵図長門国 (1605年/宇部市所蔵/⇒宇部市HP)では、宇部岬から西の居能に向かって砂州が伸び、入江を形成している。入江の尻。海岸線は現在のJR宇部駅あたりまで入り込んでいた。 ■山口県防府市八王子 ※佐波川の出口。 ■高知県香美市土佐山田町山田八王子 ※物部川の山間からの出口。 ■福岡県北九州市八幡東区八王寺町 ※金比羅池の岸辺。 ■熊本県熊本市中央区八王寺町 ※湿地の岸辺。加藤清正によって江津塘が築かれる以前は、加勢川沿いに江津湖はなく、西に向かって流れ出ていた。
▼目次
第一部 「縄文語と上代日本語の隠された境界線」
【百済系敏達天皇で王朝交代!蘇我氏本家を滅ぼし、大化の改新は言語まで変えた!】
第二部 「記紀、風土記のウソを徹底的に暴く」
【No.1】香久山は「弓の形の山」だ!風土記は後世の人々を騙すためのデタラメが満載!
【No.2】愛宕山は「ぽつんと離れた山」の意!「カグツチ」という火の神などいない!
【No.3】住吉三神は「六甲山の自然崇拝」。海の神ではない!
【No.4】仲哀天皇偽陵の「五色塚古墳」は「岩崖の墓」の意だ!
【No.5】「処女塚」も「求女塚」も悲恋物語とは関係ない!「砂浜の入り江の古墳」の意だ!
【No.6】「因幡の白兎」も大ウソこじつけ物語!「将軍塚」に将軍は眠らない!
【No.7】「稲荷神」「狐」もデタラメ!お揚げをお供えしても無駄!
【No.8】「八雲立つ出雲」は「先住民の入り江」!宮崎の巨大古墳「弥五郎塚」は「先住民の墓」!
【No.9】「八幡大神」などいない!八幡と富士見は同語源の「川端」!「富士山が見える」のは偶然だ!
【No.10】「羽衣」は単なる「岬の頭」!「羽衣伝説」は縄文語に渡来系物語が便乗しただけだ!
【No.11】「天日槍」は新羅から来ていない!城崎温泉から来ただけだ!
【No.12】本当に「高麗」に高麗人が移り住んだのか?全国の「高麗」の地勢は「湾曲した川」だ!
【No.13】「甲斐の黒駒」は本当に馬か?全国の「黒駒」の地勢は「山裾の湾曲した川」だ!
【No.14】「百済」は「川や湾の入口」の意!風土記はしゃあしゃあとウソをつく!
【No.15】ウソつき神様大集合!天照、事代主、八幡、稲荷、住吉、金刀比羅のデタラメを暴く!
【No.16】地名の八王子も王子信仰もウソっぱち!牛頭天王も縄文語の地名に空想物語が便乗しただけ!
【No.17】旧国名はデタラメ由来だらけ!常陸、総、伊豆、駿河、尾張、伊勢、伊賀、摂津、豊、筑紫、肥、日向、風土記は悪意に満ちた大ウソつきだ!
【No.18】「椀貸」は「岸の外れ」の意!椀貸塚古墳は「椀」を貸してはくれない!
【No.19】「造山」「作山」は「自然地形を利用した古墳」の意だ!「作石」の石の宝殿は「あの世への入口」だ!
【No.20】「銚子塚古墳」は「中くぼみの山」で「前方後円墳」の意!酒器の「銚子」とは似ても似つかない!
【No.21】まんじゅう、松、馬、万、升、窓、古墳も地名もすべて「マーテュ=波打ち際」の意!風土記に騙されてはいけない!
【No.22】楯縫は楯を作っていない!「こちらの湿地」の意だ!
【No.23】「日置」は「山裾」の意、「日置部=砂鉄の生産地」ではない!
【No.24】「金鶏伝説」のデタラメを暴く!「金の鶏」など埋めていない!
【No.25】「薬師如来」も縄文語に便乗しただけ!全国の「薬師」は「岸の末端」だ!
【No.26】「荒川」は「荒れる川」ではない!「タマ川」と同義、「一方の川」の意だ!
【 あ と が き 】
