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日出ずる国のエラーコラム


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日出ずる国のエラーコラム[総集編]
No.18 「椀貸」は「岸の外れ」の意!椀貸塚古墳は「椀」を貸してはくれない!
 今回は、日本各地にある椀貸伝説を縄文語で解読します。読んで字のごとく「椀を貸す」内容にさまざまな尾ひれがついた伝説です。代表例がwikipediaにありましたので引用してご紹介します。

【椀貸伝説例】(※wikipedia引用)
「金屋という場所に大きな岩があり、その岩の側で「膳椀を何人分貸してくれ」と叫ぶと、翌朝には希望した数の膳と椀が用意されていた。ある時、不心得者が借りた椀の数をごまかして返したところ、二度と貸してもらえなくなった。—鳥取県 八頭郡の伝承、『昔話伝説小事典』みずうみ書房」

 異族との沈黙交易の象徴との説がありますが、筆者の見解は異なります。

 これまで繰り返し述べているように、このような漢字表記にこじつけた伝承はことごとくウソの創作物語の可能性が高いので、真正面から真面目に分析してもその多くは徒労に終わります。
 この物語も既述の物語同様、後世の人々が縄文語(アイヌ語)に漢字を充てたことから生まれた疑いがあります。

 縄文語解釈では、

◎縄文語:椀貸
=「ワ・カシ」=「岸の・上(表面)」

or「ワ・ケシ」=「岸の・はずれ(末端)」

=川・湖沼・海の岸辺

 という意味ですから、縄文人が「水辺の岸」と呼んでいた土地に、渡来系の有識者が「椀貸」の漢字を充て、それを後世の人々が漢字表記から解釈して物語を創作したということになります。漢字を充てた時期と物語を創作した時期が一致しているとも考えられます。

 余談ですが、「薬師」も同様に「水辺の岸」の意と解釈できます。薬師如来、薬の神様も縄文語に便乗している可能性があります。「薬師」のつく古墳、地名は、ほとんど水辺にあります。

◎縄文語:「薬師」=「ヤ・ケシ」=「岸の・はずれ(末端)」

 閑話休題。以下、椀貸伝説の残る土地の地勢を調べてみます。椀貸淵、椀貸池は言うまでもなく、その他もことごとく水辺であることが分かります。「椀貸」を冠する古墳の場合は、「周濠のある古墳」の意でも使用されているようです。

 また、椀貸伝説は東北から九州まで分布しているので、縄文語の使用範囲も日本全国に広がっていた可能性があります。 特に古墳名に採用されている場合は、その築造年代から縄文語の使用時期を推測することもできます。


【統計】「椀貸」伝説所在地「岸の・はずれ(末端)」の地勢と一致する確率。
・ 23/23=100%


【参考】「椀貸」を冠する古墳


■椀貸塚古墳(香川県観音寺/6世紀後半/円墳)
※「二重濠を持つ巨大円墳」。濠と堤を含めると直径70mにもなります。 ■大麻山椀貸塚古墳(香川県善通寺市/前方後円墳)
※大麻山中腹に築かれた古墳。東側には金倉川が北流しています。かつて金倉川の流路はもっと西にあり、大麻山の山裾近く(JR土讃線の西側)を善通寺に向かって流れていました。つまり、「金倉川の岸にある古墳」の意です。 ■吉原椀貸塚古墳(別名:大塚池古墳)(香川県善通寺市)※水辺の古墳
■椀貸山古墳(福井県坂井市/6世紀前半/前方後円墳) ※馬蹄形の周濠を持つ。竹田川沿いでもある。
■貸し椀の穴古墳(福岡県朝倉市柿原)
※かつては国道386号の北側の低地まで池沼だったのではないか。

【参考】椀貸伝説のある古墳、場所の一例(その他多数あり)

■久本古墳(香川県高松市)※溜め池の岸。周溝もある。
■龍角寺岩屋古墳(千葉県印旛郡栄町)
※印旛沼の岸辺の峰の上に立地。かつての印旛沼はJR成田線の際まで広かった。 ■カンカンムロ横穴群(千葉県印旛郡酒々井町)
※中央排水路の岸。干拓前は、印旛沼と手賀沼が中央排水路の筋で太く繋がっていた
■小田中親王塚古墳(椀貸穴)(石川県七尾市小田中)※周溝のある古墳。 ■貝喰池(山形県鶴岡市下川) ■成田山新勝寺(千葉県成田市)※隣接する成田山公園には複数の池がある。 ■隠れ里(千葉県佐倉市下勝田)※高崎川支流の岸辺。 ■椀貸淵(山梨県南都留郡道志村)※道士川沿い。 ■椀貸穴(山梨県西八代郡市川三郷町鴨狩)※富士川の岸辺。 ■高浪の池(新潟県糸魚川市小滝) ■椀貸池(静岡県掛川市) ■蛇穴(岐阜県郡上市和良町)※鬼谷川の岸辺 ▼以下 場所を特定できずも、すべて「水辺」
■赤池(新潟県長岡市赤谷)
■椀貸淵(愛知県豊田市、愛知県設楽町)
■椀貸せ淵(岐阜県下呂町小川)
■亀淵(岐阜県美濃加茂市)※木曾川の岸辺
■竜宮淵(宮崎県東臼杵郡諸塚村)
■駒が池の椀貸穴(長野県下伊那郡大鹿村)

▼目次
第一部 「縄文語と上代日本語の隠された境界線」
【百済系敏達天皇で王朝交代!蘇我氏本家を滅ぼし、大化の改新は言語まで変えた!】
第二部 「記紀、風土記のウソを徹底的に暴く」
【No.1】香久山は「弓の形の山」だ!風土記は後世の人々を騙すためのデタラメが満載!
【No.2】愛宕山は「ぽつんと離れた山」の意!「カグツチ」という火の神などいない!
【No.3】住吉三神は「六甲山の自然崇拝」。海の神ではない!
【No.4】仲哀天皇偽陵の「五色塚古墳」は「岩崖の墓」の意だ!
【No.5】「処女塚」も「求女塚」も悲恋物語とは関係ない!「砂浜の入り江の古墳」の意だ!
【No.6】「因幡の白兎」も大ウソこじつけ物語!「将軍塚」に将軍は眠らない!
【No.7】「稲荷神」「狐」もデタラメ!お揚げをお供えしても無駄!
【No.8】「八雲立つ出雲」は「先住民の入り江」!宮崎の巨大古墳「弥五郎塚」は「先住民の墓」!
【No.9】「八幡大神」などいない!八幡と富士見は同語源の「川端」!「富士山が見える」のは偶然だ!
【No.10】「羽衣」は単なる「岬の頭」!「羽衣伝説」は縄文語に渡来系物語が便乗しただけだ!
【No.11】「天日槍」は新羅から来ていない!城崎温泉から来ただけだ!
【No.12】本当に「高麗」に高麗人が移り住んだのか?全国の「高麗」の地勢は「湾曲した川」だ!
【No.13】「甲斐の黒駒」は本当に馬か?全国の「黒駒」の地勢は「山裾の湾曲した川」だ!
【No.14】「百済」は「川や湾の入口」の意!風土記はしゃあしゃあとウソをつく!
【No.15】ウソつき神様大集合!天照、事代主、八幡、稲荷、住吉、金刀比羅のデタラメを暴く!
【No.16】地名の八王子も王子信仰もウソっぱち!牛頭天王も縄文語の地名に空想物語が便乗しただけ!
【No.17】旧国名はデタラメ由来だらけ!常陸、総、伊豆、駿河、尾張、伊勢、伊賀、摂津、豊、筑紫、肥、日向、風土記は悪意に満ちた大ウソつきだ!
【No.18】「椀貸」は「岸の外れ」の意!椀貸塚古墳は「椀」を貸してはくれない!
【No.19】「造山」「作山」は「自然地形を利用した古墳」の意だ!「作石」の石の宝殿は「あの世への入口」だ!
【No.20】「銚子塚古墳」は「中くぼみの山」で「前方後円墳」の意!酒器の「銚子」とは似ても似つかない!
【No.21】まんじゅう、松、馬、万、升、窓、古墳も地名もすべて「マーテュ=波打ち際」の意!風土記に騙されてはいけない!
【No.22】楯縫は楯を作っていない!「こちらの湿地」の意だ!
【No.23】「日置」は「山裾」の意、「日置部=砂鉄の生産地」ではない!
【No.24】「金鶏伝説」のデタラメを暴く!「金の鶏」など埋めていない!
【No.25】「薬師如来」も縄文語に便乗しただけ!全国の「薬師」は「岸の末端」だ!
【No.26】「荒川」は「荒れる川」ではない!「タマ川」と同義、「一方の川」の意だ!
【 あ と が き 】

◎参考文献: 『地名アイヌ語小辞典』(知里真志保著、北海道出版企画センター)※参考文献を基に、筆者自身の独自解釈を加えています。/『日本書紀 全現代語訳』(宇治谷孟 講談社学術文庫)/『古事記 全訳注』(次田真幸 講談社学術文庫)/『風土記』(中村啓信 監修訳注 角川ソフィア文庫)/『古語拾遺』(西宮一民校注 岩波文庫)/『日本の古代遺跡』(保育社)/wikipedia/地方自治体公式サイト/ほか

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